早稲田大学マスコミ研究会

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【独占取材】早稲田大×コロナ対策

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コロナ禍の中、7.5億円の空調設備といった数々の対策を打ち出してきた早稲田大学。その裏側を教務部事務副部長・根本さんに突撃取材した。

「去年の2月くらいからコロナ危ないぞってことで、大学で『新型コロナウイルス感染症対策本部会議』っていう対策本部をすでに作っていたんですよ。」

 根本さんによれば、対策会議は様々なメンバーで構成されている。会議の構成員は総長や大学理事、教務部、国際部、学生部など色々な部署のトップ。加えて、保健センターの教職員や医師免許を持つ先生も所属する。

 

 「人数が多いことに加え、当初はコロナに対する知見も少なかったですし……。様々な視点、相反する意見も多々あり、諸々方針を決めるのは苦労しました。一斉オンラインにすることを決めるだけでも、この会議に限らず、最終的に判断する学術院長会でも相当紛糾しましたね。」

 根本さん含め対策の中心を担うメンバーは、夜となく昼となく動いていたという。

 

早稲田大学の対面を重視する姿勢にどんな裏側があったのか聞いてみた。

早稲田大学の強みって、日本や世界の各地から様々な個性を持つ人が集まるところだと思うんですよ。そういう学生さんたちが直接交わる機会をなんとか作ってあげたいと思っています。」

 これからも対面でもオンラインでも質の高い授業を提供したい、と根本さんは語った。

 

 

 

「7.5億の空調設備」、実際何をした?【早稲田大学取材企画】

早稲田大学が対面授業を実施する理由として、度々登場する「7.5億の空調設備」。早大生にとって、もはやお馴染み。今回は、コロナ対策として設置した空調設備について、教務部事務副部長・根本さんにお話を伺った。

 

 「十分な換気設備を持たない校舎では、対面授業の再開が難しくなります。多様な学生間での交流を重視する早稲田大として、空調設備には投資する価値があると判断されました。」

 実際、2021年6月現在までに教室内でのコロナ感染は確認されていない。メディアや保護者から対面での授業を批判される際にも、十分な換気能力と教室内でのコロナ感染がないことを説明しているそうだ。

 

しかし、全ての校舎で空調設備を整備した訳ではないとのこと。「学生さんの中には、校舎の空調設備に変化がないと思った方もいるでしょう。実は、設備を改善する必要があったのは古い校舎が中心なのです。」

3号館や11号館といった比較的新しい校舎は、すでに厚生労働省が打ち出す換気に関するガイドラインを満たしている。だが、15号館や16号館のような築年数の古い校舎には設備の改善が必要だったのだ。

やはり、教育学部の16号館は古すぎたのか……。

 

 根本さんは、換気だけでコロナ感染を防げるわけではないことも強調する。

「感染対策として換気は重要ですが、それ以上に個々人の意識が重要です。先生方と学生さんの体調管理や手指消毒、マスクの着用なしには感染は防げません。対面授業継続のため、ご協力よろしくお願いいたします。」

この記事を読んだ皆さんも、感染対策を万全に対面授業へ臨んでほしい。

 

 

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15号館、空調設備の改善前と改善後の写真。築年数の古い15号館に対し、厳つい換気ダクトが目立つようになった。 (写真提供:「都市徘徊blog」https://blog.goo.ne.jp/asabata)

 

一足早い「夏」。UNIDOL2021 Summer 関東予選1日目【独自取材&レポート】

 

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 今回はそのユニドル関東大会予選一日目の各チームパフォーマンスレポート、さらに最後には決勝進出チームに頂いた特別コメントを掲載しております。是非最後までご覧ください!

 

 

★.ユニドルとは? 

——女子大生たちによるアイドルコピーダンスナンバーワンをかけた、日本で一番熱い大会である。

2011年から始まった本大会だが、2021冬は新型コロナウイルスの影響で決勝が行われなかったということで、実に3大会ぶりの決勝開催ということになる。

オンライン観覧でも会場の熱い雰囲気が伝わってくる。声だし・飛び跳ねなどが禁止されている分、観客たちが振るペンライトや拍手にはいつも以上に熱がこもっていた。直接的な歓声や叫び声は聞こえないものの、以前のような活気を十二分に感じることができる大会となっていた。

 

 

 

 

<ルール>

 各出場グループに与えられるパフォーマンス時間は7分30秒。

 ダンス・表現力・個性・演出・魅了度、以上5つの項目から審査される。

 審査員表と観客による得点票で結果を決める。

 関東予選1日目では3チーム、2日目4チームが決勝進出チームとして選ばれる。

 

 

大会テーマは、“なつやすみ”

出場者にとっては、努力が実を結ぶ大会に、

観客にとっては、ユニドルを通じて非日常な休息を満喫できる大会になるように、という思いからのテーマだ。

 

東予選一日目の出場チームは以下の8チーム。(残念ながら、新型コロナウイルスの影響で参加できなかったチームもあった。)

 

 

審査員は以下の3名の方々。 

アソビシステム株式会社CCO兼エグゼクティブプロデューサー  稲着達也氏

振付師  岡本和子氏

チーフプロデューサー M氏(今回は事情により伏字)

 

 

 

 各チームパフォーマンスレポート

1.きりんれもん F女学院大学

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26時のマスカレイド 『ハートサングラス』

・黒のシックなワンピースに、ふわりとしたネクタイがおしゃれで華やかな印象。モノトーンで品よくまとまっている、大人っぽい衣装となっていた。

・振付を効果的に使った表現が多く、一人ではあるものの、舞台を満遍なく使っているおかげかまったくそれを感じさせない華やかさだった。

・ハートを作るポーズがキュート!また、拍手を呼びかけるような振り付けもあり、声を出せないという状況下で最大限会場を盛り上げた。さらに、間奏ではマイクなしの声掛けも!会場の観客との一体感を感じた。

夢みるアドレセンス 『メロンソーダ

・元気ではじけるような曲調。見ているこちらも元気をもらえる!キャッチ―な振付が印象的だった。

9nine 『Cross Over』

・打って変わって少ししっとりとした曲調。サビでは全身でしなやかな動きを表現した大人っぽい振り付けが多く、先程の曲から印象ががらりと変わる。

・「最後までたのしんで~!」という観客思いのコメントに、これからの大会への期待も高まる。最後まで楽しむ……!ありがとう泣

 

2.Like 桜美林大学

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・パニエがフリフリとした衣装はまさに“ザ・アイドル!”という印象を受けた。お祭りをテーマにした作品になっている。

=LOVE 『いらないツインテール

・かなりメタルな印象。個性が際立っていた。激しいダンスが続き、他のグループにはない表現が目を引いた。

・画面に映される歌詞に、さらなる臨場感を引き立てられる。

・途中のソロは、会場の空気感が少し変わるほどのインパクト。メンバーの掛け声とともに、会場のテンションも上がってゆく!

モーニング娘。 『みかん』

・がらりと変わってかわいらしい印象。カラフルな照明の下で、メンバーの色とりどりのパニエがとても映えていた。

・メンバーの息がぴったりと合った、間奏での振付は目を見張るものがある。

・人数が多いものの、ソロ、舞台の使い方が上手なので全体に目が行き届き、個性が際立っていると感じた。

FES TIVE 『ドンドコ祭リズム ー燃え上がれタイコちゃんー』

・メンバーが1人ずつ参加していくような入り。各々の個性が際立つ。舞台をダイナミックに使った振り付けが多く、迫力があった。後半の曲にも関わらず、激しい振り付けがあるサビ。

・そしてまさかのラップも盛り込まれていた! コンテンツ力の高さに驚きを隠せない……。太鼓をたたくパフォーマンスが随所に織り込まれ、会場もお祭りムードで盛り上がった。

・最後は「バイバーイ!」と元気に去っていった。こちらまで元気になるようなパフォーマンスをありがとう!バイバイ(´;ω;`)

 

3.SPH mellmuse 上智大学

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赤と黒の二色でまとめられた、小悪魔的なかわいさがある衣装で登場。アイドルらしいキュートさと、ロックでかっこいい印象のバランスがとても良かった。

SUPER☆GIRLS 『赤い情熱』

・赤の照明が効果的に使われており、衣装が映えていた。メンバーの振り付けもばっちりあっていて一体感がある。かっこよく勢いのあるパフォーマンスが見ものだ。

手羽先センセーション 『小さな冒険者

・衣装チェンジ。白くてカワイイアイドル全開!な感じ

アンジュルム 『キソクタダシクウツクシク』

・黒と白でまとめた大人っぽいモノトーン調の衣装。パフォーマンスも迫力があり、世界観に引き込まれる。振付も個性的!

虹のコンキスタドール 『響け!ファンファーレ』

・虹色の衣装がかわいい。掛け声で会場の雰囲気も明るく!

・お尻をフリフリする振りでは、パニエについたリボンが揺れる。

・サビでの一体感!ラインダンスが元気な印象。

・メンバーカラーにあった背景の文字色。細かいこだわりを感じる。

・虹色の照明が最高!最後のポージング、色がそろえられた配列がキレイ~!ありがとう~!

 

4.もふねる K大学

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・清楚かつカワイイを兼ねそろえた衣装。白くてふわふわとした女の子らしい印象だった。

シュークリームロケッツ 『君のAchoo!』

・始まりは神秘的な曲調の入りにうっとり……

・背景には手書きの絵が使われている。ピュアであどけなさの残る雰囲気にぴったりだった!

・途中のサビでは、背景の三人の似顔絵と舞台上のフォーメーションがリンクしており、こだわりを感じる構成。全体的な三人のフォーメーションが美しく、息がぴったりとあったパフォーマンスだった。

・どこか儚い雰囲気を醸し出すような曲の印象にぴったりと合った衣装だと感じた。

・二つ目のサビでのリボンを振るような振り付けや、存在感のあるスニーカーなどの様々な部分が、三人の息の合うパフォーマンスをさらに引き立てていた。

 

夢みるアドレセンス 『メロンソーダ

・アイドルらしいキュートな曲調!3人が順々にソロを踊り、後ろの2人がそれを引き立てる。ボーカルに自然に目が行くような構成になっていて驚く。3人が手を振るような振付、さらには舞台前に座り観客側ぎりぎりまで近くに来てくれるような演出に、会場も大きく盛り上がっていた。

リルネード 『ラッタパリニャ』

・一転してかっこいい。フラメンコのように大きくスカートを振る振付が印象的。だからロングスカートだったのか……!背景の激しさもさらにパフォーマンスを引き立てた。

今までのチームとは違い、三人の世界観に引き込まれるような終わり方で幕を閉じた。

 

——この 4チームで前半戦が終わった。MCの言葉通り、まさに全てのチームが優勝候補という感じだ。どのチームも随所にこだわりが盛り込まれ、個性を引き立てるような演出が見られる。これは後半戦にも期待が高まる……!

 

5.chocolat lumière K大学

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・新メンバーも入り、新たな一面に期待。

MIGMA SHELTER 『69』

 ・一糸乱れぬキレのある踊りが、曲の雰囲気とベストマッチしていたステージ。

 DIALOGUE+ 『大冒険をよろしく』

 ・先ほどとは印象の異なるかわいくキュートに決めた踊り。衣装も大きなリボンがあしらわれていてとてもかわいかった。

 手羽先センセーション 『夏情気性』

 ・今回のテーマ「夏休み」に合っている、爽やかなステージ。1曲目から3曲目まですべて違う曲調のセットリストで、次はどんな姿を見せてくれるのかとワクワクした。

 SUPER☆GiRLS 『はじまりエール』

 ・映像に、”過去の練習風景”とともに”一緒に踊る仲間への思い”が込められているのを見て、胸が熱くなった。可能性を広げ続ける彼女らの姿にエールをもらえた。

 

 6.ヒロインは更新中♡ K大学

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・今大会初出場の2人組アイドル。

 シュークリームロケッツ 『君のAchoo!』

 ・初登場とは思えない二人の息ぴったりなダンス!

 櫻坂46 『なぜ恋をして来なかったんだろう』

 ・曲の歌詞の動きに沿いながら、2人でステージ上を移動するシーンがとても美しかった。

ハニースパイスRe. 『Happy』

 ・対照的な2人を象徴するかのようなダンスに、この曲がヒロインは更新中♡の持ち歌かと錯覚した。

 

7.Bombs! 筑波大学

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・キャッチコピーは「笑顔弾ける爆弾娘!」

 HKT48 『最高かよ』

 ・ステージに上がった途端、その名に恥じないハジける笑顔とキラキラの衣装に圧倒された。もしコロナがなければコールが大声で出来て楽しかっただろうな、と想像できたステージ。

 手羽先センセーション 『ウノウクノウカノウサノウ -手羽センver.-』

 ・映像のコミカルさとキレッキレのダンスのギャップにびっくりした。

 SUPER☆GiRLS 『夢限大FOREVER』

 ・どんなに疲れていても最後まで笑顔を崩さないその姿勢に、もはやプロなのではと感じた。元気に踊る姿は私たちに最高の「夢」を見せてくれた。

 

8.かめれおん T大学

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・冬大会でのCapriccioを改名し2回目の1人での出場。

 欅坂46 『月曜日の朝、スカートを切られた』

 ・1人での出場が不利でないことを誇示するかのようなアクロバティックなダンス。最初から度肝を抜かれた。

 欅坂46 『Nobody’s fault』

 ・パフォーマンスを決めた時の不敵に笑った表情がとてもかっこ良かった。

 平手友梨奈 『角を曲がる』

 ・スカートを巧みに操るダンスで、ターンした瞬間のフワッと広がる所が綺麗だった。ひとつひとつの所作に迫力が感じられた。

 

 

★.SECRET GUEST

 

 

暗転した後、チャイムが鳴って注意事項がアナウンスされた。いよいよシークレットゲストの登場。照明が激しく点滅した後、虹色に変わる。以前までなら、ここでアイドルと観客のコールアンドレスポンスで会場が一体となったのだろう。声出しや飛び跳ねが禁止されているのが残念だ。



愛乙女☆DOLLが本日のシークレットゲスト。挨拶もそこそこに、パフォーマンスが始まった。

 

『流れ星』

青の照明とミラーボールの光が流れ星のようにメンバーへ注ぐ。フォーメーションがこまめに変化してメンバー1人1人の魅力がよく分かる、1曲目にふさわしい選曲だった。固定撮影と移動撮影の2カメラから配信されていたが、移動撮影は表情や衣装がより分かる。配信ライブの強みだと思った。



『セツナツ、ダイバー』

2曲目は夏の幕開けにふさわしい曲。気になる人への気持ちをメンバーがにこやかに表現した後、切ない顔で「花火大会での二人の様子」を歌い上げてたのが印象的だった。全員が後ろを振り向くフォーメーションでエンド。見返り美人はやっぱりグッと来る。



ここでMC。

「いつでもあなたのお人形♪ 愛乙女☆DOLLです」と自己紹介から始まった。

会場の人数制限でお客さんがいつもより少ないにも関わらず、自分たちを知っているお客さんがいることにほっとしていた様子。

おととい新メンバーが加入し、今年は結成10周年とのこと。

「ユニドルに出場するグループがよく愛乙女☆DOLLのコピーをしていると知って嬉しいです。今回はコピーしてもらうことの多い曲をやります」と言って次の曲へ。



『ビターチョコ・バレンタイン』

前の2曲とは打って変わって大人っぽい曲。ライティングや振り付けも色っぽい演出に変わった。好きな人を想っているだけではいられない乙女心をしっとりと、力強く歌う。喜びから切ない恋心まで、多種多様な感情を表現できるのが愛乙女☆DOLLの魅力だ。

 

『カレンダーガール』

アイドルらしく、笑顔で歌って踊る曲でラストを飾る。

2人ずつハイタッチしたり、シンメがあったりとメンバー同士の関係性を想像できる曲だった。聞いてるだけ、見てるだけでキュンキュン来るのが最高。新宿ReNYが今日の最高気温を記録したのでは、と思うくらい熱いライブだった。

 

衣装のコンセプトは共通しているものの、メンバーの魅力に合わせて微妙にデザインを変えているのが分かった。髪型もミニハットから三つ編み、巻き髪まで多様なスタイルだった。今回はパフォーマンスを集中して見ていたが、次に観る際は衣装や歌声にも注目したい。



「いつでもあなたのお人形♪ 愛乙女☆DOLLでした!ありがとうございました~」と再び名乗ってライブが終了。メンバーがそれぞれ感謝を伝えながら退出。出演時間約20分だったが、愛乙女☆DOLLの魅力がぎゅっと詰まったライブだった。



★.結果発表

 

全てのアイドルグループがステージにそろった。メンバーみなマスクかマウスシールドを着用しており、皆の表情がはっきりと確認できないのが残念だ。手を振るメンバー、緊張して結果を待っているメンバーなど三者三様の様子である。

愛乙女☆DOLLもステージに出揃い、いよいよ一位から発表。

 

第1位は審査員投票1位、会場投票1位、オンライン投票2位

筑波大学/Bombs!」

一瞬声をだしかけるも、すぐにほほえんで写真撮影に臨んだ。安堵と喜びの入り交じった顔のメンバーにこちらも顔がほころんだ。

予選1位通過を目指していたため、この結果を獲得でき嬉しいとのこと。1年以上待ったお客さん、メンバー、裏方のスタッフに感謝を伝えていた。



第2位は審査員投票2位、会場投票2位、オンライン投票1位

上智大学/SPH mellmuse」

真っ先にお客さんへ感謝を伝えた。「コロナ禍の中で、メンバーで協力できたのはよかったが、10大会連続で予選一位通過だったのに、この結果となり悔しい」と涙ぐんで話していた。

 

第3位は審査員投票4位、会場投票6位、オンライン投票3位

「T大学/かめれおん」

ソロアイドルの決勝進出ということで、司会も驚いていた。本人も予想外のようで、言葉が出なかったようだ。「びっくりしているけど、決勝でもがんばりたい」とのこと。



結果発表の後、「大学生のみなさんのがんばってる姿に元気をもらえた。決勝でもかんばってほしい」と愛乙女☆DOLLからエールが送られた。

また、決勝と同時に敗者復活戦がある。今回、惜しくも予選通過とならなかったグループも、敗者復活戦で決勝ステージにあがるのを楽しみにしている。

 

最後はみんなで手を振りながらステージを去った。これにてユニドル関東予選大会1日目終了。

 

 

★.決勝進出3チームより特別コメント

決勝に進出した3チームにご回答いただきました!

 

【Bombs!】

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1.自分たちのチームの特色やアピールポイント

私たちBombs!のキャッチコピーは「笑顔弾ける爆弾娘」です!その名の通り、明るく、楽しく、弾ける笑顔で!お客さんとの一体感も大事にしながらパフォーマンスをしています!一人一人の個性を大切にしながら、まとまったときに爆発的な力を発揮できるチームです!「爆」という勢いを感じさせるような、常に進化し続けるチームを目指しています!


2.予選を終えての感想

Bombs!の今までの最高順位である第1位で予選突破できて、素直に嬉しく思います!久しぶりの大会出場で少し不安もありましたが、今までやってきたことは間違ってなかった、お客さんに私たちの「ステージを楽しむ」という気持ちが伝わった結果だと思うと、本当に頑張ってきて良かったなという気持ちでいっぱいです!

 

3.予選でのパフォーマンスの見どころ

今回はBombs!の伝統をそのまま引き継いだような王道楽しいセトリになっているので、1曲目から3曲目まで通してぼむずらしい、楽しく弾けて勢いのあるパフォーマンス全てが見所です!

 

4.決勝への意気込み

この予選の結果を自信に変えて、どのチームにもない唯一無二のぼむずらしい個性を決勝でも見せつけて、ぼむず革命を起こします!絶対優勝します!!

 

 

 【SPH mellmuse】

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1.自分たちのチームの特色やアピールポイント

チーム名のSPH mellmuseには蜂蜜のように甘くて可愛い曲から女神様のような美しくてカッコイイ曲まで踊るという意味が込められています。チームのコンセプトである「あなたのために、あなたとともに」をモットーに皆さんに楽しんで貰えるパフォーマンスをしています。

 

2.予選を終えての感想
1位通過を目指してきたし、10大会連続で予選1位通過してきたので申し訳ない気持ちと悔しい気持ちで一杯です。

 

3.予選でのパフォーマンスの見どころ
4曲でそれぞれ違ったSPH mellmuseを見ることができます!雰囲気の変化や4曲異なる衣装にも注目して欲しいです!

 

4.決勝への意気込み
この悔しさをバネに決勝では全国優勝します!!

 

 

【かめれおん】

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1.自分のチームの特色やアピールポイント

『かっこかわいい、美しい』がモットー。本家の再現度にも拘っています。かめれおんが体の色を変えられるようににどんなジャンルの曲に染まる変幻自在なパフォーマンスができることを目指しています。

 

2.予選を終えての感想

ステージ上で全てを出し切れてものすごく達成感に満たされました。それが結果としていい形で出たと思います。

 

3.予選でのパフォーマンスの見どころ

本家の再現度の高さ。ダイナミックさ。

 

4.決勝への意気込み

初の決勝進出、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。次も唯一無二のステージを作り上げられるように頑張ります。

 

 

 

一足早い「夏」

UNIDOL2021 Summer関東予選1日目は、出場したそれぞれのチームや運営の方々によって、コロナ禍のもとでも無事開催することが叶った。チームそれぞれが自分たちの限界を7分半のパフォーマンスにかける姿に、私たちは胸を熱くさせて一足早い「弾けるような夏」を感じることができたのではないだろうか。

 

 

 

 

夢の世界がここにある。UNIDOL2020-21 Winter 関東予選【独自取材&レポート】

昨年冬大会以来の1年ぶりの大会。例年とは異なり観客は全員着席・声だし禁止であるものの、色とりどりのタオルやTシャツで、”推し”への熱い気持ちが感じられる。

 

テーマは、「夢の世界」。女の子たちの夢が詰まった舞台、人に夢を見せられる場所。憧れの舞台に飛び込んで、視聴者も夢の世界を体験してほしい——そんな想いが込められているそうだ。

 

今大会は、ダンス・表現力・個性・演出・魅了度における審査と、会場・オンライン双方の観客投票によって結果が決まる。上位4チームが決勝進出し、さらに5位のチームは「ワイルドカード」として決勝への切符に再度挑戦することができる。

 

東予選には早稲田大学から、1日目に「夏目坂46」「Prismile」「ももキュン☆」、2日目に「君はトキシック」の4チームが出場した。1年間の原則オンライン授業という状況で、UNIDOLに出場するためにそれぞれの苦悩があったはずだ。マスコミ研究会は、UNIDOL実行委員会の協力の下、関東予選の取材に加え、早稲田4チームから予選直後のメッセージも頂くことができた。彼女たち自身が語る魅力や、今の意気込みをぜひご覧頂きたい。

 

本記事では早稲田チームを始め、UNIDOLの舞台で放たれる大学生の“輝き”を、2日間のレポートにてお届けする。

 

 

 

【一日目】

1.Capricco N大学

・今大会は初出場。

・予選は関東予選唯一、一人での出場。

欅坂46 「サイレントマジョリティ

・曲中に駆け抜ける振りからサビへと入る瞬間が印象的に映った。

乃木坂46 「シンクロニシティ

・一人で踊ってるのに振りで体を大きく使えていて迫力がある。

欅坂46「誰がその鐘を鳴らすのか」

・ターンの瞬間に衣装の白いスカートが揺れる姿が綺麗だった。可愛さを押し出すのではなく表現力で魅せるダンス。



2.Tea♡Break  お茶の水女子大学

・昨年の冬大会で初の決勝進出を果たす。

アンジュルム 「次々続々」

・最初のシンメのフォーメーションがしびれる。サビの振りが力強い。

AKB48 「Beginner」

・赤いスポットライトが似合う。Stand back togetherのピラミッドも美しい。力強いダンスとシンメトリーに並んだフォーメーションからダンスの正確性が際立った。

SKE48 「恋を語る詩人になれなくて」

・1,2曲目とは打って変わって一気に雰囲気が変わりかわいらしさと力強さを兼ね備えたダンスを披露した。

 

 

3.夏目坂46 早稲田大学

・初出場から1年半。

・昨年の結果を振り返って「Re:start」をテーマに掲げ出場。

欅坂46 「ハッピーオーラ」

・軽やかなダンスから可愛さが全面に溢れでるステージ。

欅坂46 「期待していない自分」

・キレのある振りからダンスの技術力で会場が魅了された。衣装にも工夫が施されており、手振りのダンスでは袖から延びるリボンが揺れてとても可愛らしい。

≠ME 「君と僕の歌」

今大会では他のグループでも使用された曲であったが、間奏で動画挿入をし一味違った演出であった。歌途中の動画挿入シーンも素敵な見せ方。「大きいステージに連れていく」という歌詞からは、決勝で再び新木場の舞台に立つ意気込みが強く感じられるものとなった。

 

 

4.kimowota☆7 法政大学

・本業はアイドルオタク。

BiSH 「GiANT KiLLERS」

・衣装のレースの色がメンバーによって違うのがかわいい、一人一人が輝いている。掛け声がすごい。

さきどり発信局 「さきどりーまー」

・全体的にアップテンポの曲で、一番にお客さんを巻き込もうとしている。

monogatari 「もう一回君に好きと言えない」

・サビの振りが大きい。このグループのオリジナルソングかと思ったくらい、すごく合っている。

虹のコンキスタドール「ずっとサマーで恋してる」

・ユニドルの大会ではなく、アイドルのコンサートみたいな感覚。

 



5.花色日和 青山学院大学

・2期生~4期生そろって出場。

≠ME 「君と僕の歌」

・ダンスの揃い具合が完璧!

SKE48 「チャイムはLOVE SONG

・会場全体に響く曲と振りとの一体感でライブみたい。

AKB48 「Teacher Teacher」

・衣装チェンジでモノトーンの衣装に変わり、セクシーさと可愛さを兼ね備えたステージを見せた。

 



6.HONEY♡MILK 明治学院大学

BEYOOOOONDS 「都営大江戸線六本木駅で抱きしめて」

・全身白い衣装が素敵。パニエスカートが揺れる姿が可愛らしさを演出。

Luce Twinkle Wink☆ 「Symphony」

・腰を振るダンスでスカートが揺れるのがかわいい。

アキシブProject 「真夏のセレナーデ」

・観客席に手を振る場面が見え、予選ではなく一つのステージかのように錯覚した。

 

 

7.yume♡chu→ C大学

欅坂46 「アンビバレント

・2分弱のこの曲のパフォーマンスの中にストーリー性を感じられる構成。衣装、ダンス、照明、表情の全てによって曲の雰囲気が構成され、強い女性像を感じさせるパフォーマンス。置いていかれないよう必死に食らいついて見たパフォーマンス。

Life is やっぱ Beautiful! 「神宿

・「盛り上がっていくよー!」イントロとほぼ同時に発せられる煽りの声で一気に一体感が生まれた。衣装替えで一気に空気感を変えてきた。

手羽先センセーション「未完成日記」

・そして再び衣装替え。みんなで同じ一つの目標に向かう必死さもがきらめきに昇華されるようなパフォーマンス。

 

 

8.成城彼女 成城大学

日向坂46 「青春の馬」

・人数多いのにまとまっている。キレイなかわいさ、元気もある。ダンスに緩急がついていて気持ちいい。

アンジュルム 「Uraha=Lover」

・最初の全員横一列で歌う場面は圧巻。ポイントポイントを合わせてくる、テンポ感のよいダンスで会場全体に一体感を生んだ。

≠ME 「君と僕の歌」 

・振りが本当に揃っており、時折白いスカートが揺れ、非常に綺麗。



9.≠嘘つきエモーション 学習院大学

愛乙女☆DOLL 「蒼い空を望むなら」

・アイドル界のマイノリティという紹介にもあるように全3曲を通してメイド服に身を包み、目立ったステージを魅せた。

天晴れ!原宿 「アッパライナ」

・色とりどりのライトに照らされ迫力のあるダンスを披露。

アイドルカレッジ 「Wonderful Story」

・メンバーが観客席に目線を合わせ、思いを伝えたいという強い気持ちが表れたステージで幕を閉じた。

 

10.Prismile 早稲田大学

東京CuteCute 「未完成の少女」

・衣装キラキラ。チームのイメージが伝わる。ふわふわとしたかわいだが、振りにキレがあって見ていて楽しい。

22/7「空のエメラルド」

・表現力の試されるダンスを踊りきっている。ダンスの表現からは、はかなさ、青春が感じられる。

≠ME 「君と僕の歌」

・2曲目→3曲目で、みんなでUNIDOL大会に立ち向かっていくんだという団結感が伝わってくる。見ているこちらも元気になれるパフォーマンス。

 

11.青春は短し 踊れよ乙女 大妻女子大学

つばきファクトリー 「意識高い乙女のジレンマ」 

・テンポ遅めの曲始まり、聞かせる曲を入れてきた! 後ろのMVがきちんとストーリー仕立てになっていて完成度が高い。

日向坂46 「My fans」

・最初の踊りと照明が相まって、一気に見ている人を曲に連れ込む。

Luce Twinkle Wink☆ 「Luce Luce Twinkle Wink☆

・人数が少ないと振りズレが目立ちやすいにもかかわらず、振りがすごく揃っている。

 

12.ももキュン☆ 早稲田大学

SUPER☆GIRLS 「華麗なるV!CTORY」

・人数の多さを最大限に武器にしたフォーメーションダンス。1、2、4年生が混ざってこの一体感。お客さんが見えるステージングが圧巻。

モーニング娘。’18 「Are you Happy?」

・曲のつなぎ方が自然かつかっこいい、しびれる。照明がダンスとあっていてかっこいい、一秒も目が離せない。曲中の胸打ちダンスがかっこいい。

私立恵比寿中学 「ハイタテキ!」

・曲はじめ、中央から放射状に散らばっていくのがキレイ。

モーニング娘。 「ここにいるぜぇ!

・曲繋ぎが天才的に自然。2分割したステージングで、飽きが来ない。ステージの広さを最大限に使い切っていて、こちらが元気になるパフォーマンス。

 

13.愛センチメートル 江戸川大学

神宿 「お迎えなすって神宿でござる」

・衣装のインパクトが強い。ステージを広く使い、お客さんを巻き込む元気さがいい。

℃-ute 「夢幻クライマックス」

・衣装変えで一気に雰囲気を変えていく。ゴスロリのような黒衣装がかわいい、曲と合っている。

手羽先センセーション 「I’m Believer」

・今年結成されたばかりのチームと思えない一体感。チームのひとりひとりが感じている仲間の大切さがひしひしと伝わってくるような感覚。

 

 

 特別コメント

今回、予選1日目に出場した早稲田大学の3チーム(「夏目坂46」「Prismile」「ももキュン☆」)より特別にコメントをいただいた。従来とは形式も戦い方も全く異なるものとなった今回のWinter予選。1年ぶりのUNIDOL大会、それぞれが抱えた想いとは。

 

夏目坂46

——特色やアピール

私たちは夏目「坂46」ということもあって坂道グループさん(乃木坂46、櫻坂46、日向坂46)の清楚感だったりイメージをパフォーマンス、曲選、衣装などにおいて大切にしています。

また、2019年4月に結成された新規チームで、メンバーは1・2年生のみで構成されています。

UNIDOLの大会の他には、イベントや学園祭を中心に活動しているチームです。

 

——予選を終えて

私たちは、昨年の初出場の夏大会では、予選2位、決勝進出という結果を残すことが出来ました。しかしながら決勝では全く爪痕を残すことができず、メンバーもバラバラの気持ちになり、悔しい思いをしてきました。それを超えて、やっとの今大会、冬予選だったので、絶対に1位通過、という思いだったのですが決勝進出もままならずまた悔しい思いをしました。ただ、パフォーマンスを褒めて下さる方が何人もいらっしゃったのは、本当に嬉しかったですし、自信に繋がりました。

 

——敗者復活戦への意気込み

敗者復活戦で本戦勝ち上がり、本戦入賞を目指したいです。今予選で、本気で取り組んだ結果だからこそ、ユニドルで何が求められているのかよく分かった予選でした。だからこそ、そこを克服したパフォーマンスを敗者復活戦でお見せしたいです。

 

Prismile

——自分たちのチームの特色やアピールポイント

私たちは"王道かわいい"をコンセプトにしたチームです!普段は48グループを中心に踊っていますが、大会では王道かわいいに加えて表現力や世界観を大切にしており、様々なアイドルさんの曲を踊っています。アイドル像の統一やテーマについて深く考えたセトリの一貫性がアピールポイントです!

 

——予選を終えて

結果は悔しいものとなってしまいましたが、この8人でしかできない爽やかさの中に力強さも感じるようなパフォーマンスができたのではないかと思います。結果を真摯に受け止めてこの悔しさをバネに次に繋げていきたいです。

 

——敗者復活戦・今後の活動への意気込み

コロナ禍という状況下、オンライン配信では今までのパフォーマンスを継承するだけでは真っ向から戦えないこと、戦い方を改める必要性を強く感じました。

敗者復活戦・決勝を経て、今回の敗北があって成長できたと言えるようにメンバー全員が気持ちをひとつに突き進んでいきます。

今後はPrismileが大事にしてきた王道カワイイというアイドル像をよりいっそう進化させて皆さんにお届けしたいです。



ももキュン☆

——自分たちのチームの特色やアピールポイント

私たちは、全員で全力全開のフルパワーのパフォーマンスをお届けしています!ダンスでは振りを揃えるだけでなく、魅せ方を考え、一人一人の個性を活かして「ももキュン☆らしさ」を追求し続けています。フォーメーションでは、メンバー全員が端から端までお客さんに楽しんでいただけるような構成を意識しています。また、歌詞に込められた思いをみんなで解釈し、大切な一曲一曲の伝え方も工夫しています!

 

——予選を終えて

一位通過ができて本当に嬉しいです。一人一人の努力が今回の結果に繋がったと思います。なによりも、全員で予選のステージを心の底から楽しめたことが本当によかったです!そして、応援してくださった皆さん、支えてくれたももキュン☆メンバー、家族や友人、関わって下さった全ての方に感謝申し上げます。ありがとうございました!

 

——今後の活動への意気込み

私たちが目指すのは全国優勝です。今回の予選一位通過がメンバーにとって大きな自信に繋がりました。その自信を決勝までたやさずに、私たちらしく全力全開で、そしてみんなで楽しんでパフォーマンスしたいと思います!気を引き締め直し、またここから全員で全国優勝を狙って頑張ります!応援よろしくお願いします!

 

 

 

 

 

【二日目】

 

 1.Open Heart 聖心女子大学

NGT48 「絶望の後で」

・夏大会中止の悔しさを噛み締めたOP映像後にふさわしい希望に満ちたイントロ。力強いダンスが元気をくれる。

日向坂46 「アザトカワイイ」

・一曲目のクールな雰囲気から一変、カワイイが止まらない。「最高の日にしましょう!」の煽りが坂道グループの上品さまで完コピ。

 乃木坂46 「帰り道は遠回りをしたくなる」

・万華鏡を見ているような美しいフォーメーションに引き込まれる。「好きだったこの場所」に、彼女たちが戻ってきてくれた舞台を重ねて胸が熱くなる。

 

2.UNGRID 慶應大学

AKB48 「Generation Change」

・1人1人のダンスの迫力が凄まじく、揃った振りの中にも「個」を感じられる。背景に流れる「UNGRIDの逆襲」なる文字が、その迫力を後押しする。

つばきファクトリー 「ハッピークラッカー」

・お客さんの盛り上がりが桁違い。コール禁止の状況の中で客席を巻き込む大きな力が、この時代への希望すら持たせてくれる。

NGT48 「世界の人へ」

・ダンスの完成度に圧倒される。ジャンプの静止時間までもが一つ。プロフェッショナルなパフォーマンス直後、去り際の「ありがとうございます‼」の無邪気さとのギャップに目を見張った。

 

3.君はトキシック 早稲田大学

≠ME 「P.I.C」

・登場した瞬間から、衣装の素敵さが際立つ。運動量どうなってるん? 瞬間移動しているのか? と考える間もない。3人がプログラミングされているかのような一体感が目まぐるしい。表現力が一人の人間を超えているとしか思えない。これが「アイドル」か——と、その一言に集約されてしまう。

ラストアイドル 「愛を知る」

・1曲目に続き激しく踊りながら絞り出す「最後まで楽しんでいきましょう!いくぞ!愛を知る~!」、観客もそれに応じるようにペンライトが踊る。3人という、他グループに比べると少人数な彼女たちながら、1人1人を一瞬も見逃せなくて、目が足りない。

J☆Dee’Z 「ひとひらの涙」

・バラード曲でも、彼女のたちのパワーはこんな風に昇華されるのか、と息をのんだ。髪を振り乱し、がむしゃらに踊る彼女たちを見ていると、この世に怖いものなんてないような万能感が満ちてくる。そして叫ばれる「奇跡を起こすよ」、確信に変わる。手書きの歌詞と私服のダンスPVは、とても強く見える彼女たちに、少しの親近感を感じさせてくれる。マイクを通さず自らの声で伝える、「ありがとうございました」。舞台を去るギリギリまで感謝を伝えながら帰っていく3人。夢の世界とこちら側を繋げてくれた、などと感じて良いのだろうか?

 

4.Like 桜美林大学

でんば組.inc 「ギラメタスでんぱすたーず」

・マルチカメラで追う、1人1人の表情まで完璧な再現度。正解なんて無いようなでんぱ組の「自由度」をコピーしようと決め、かつ素晴らしい完成度のパフォーマンスを見せつけたその勇気と根気、能力は天晴れとしか言いようがない。

EMPiRE 「SUCCESS STORY」

・でんぱ組の衣装まま始まった時は驚いたが、あっけなく余計な心配に終わった。彼女たちの大きな魅力は表情だと言いたい。表情だけでも全てを塗り替えられると示した。

天晴れ!原宿 「決勝戦はエブリデー」

・天晴れの楽曲と言えば、コールによってボルテージが倍増する印象があるが、声に出せなくとも観客の盛り上がりが画面越しに伝わってくる。観客を巻き込むステージングに、会場で見ていた方々は声をぐっとこらえる大変さがあったとさえ思われる。舞台上も観客も、もちろん画面の前の我々も全員が間違いなく楽しんでいた。

 

5.成徳ロマンス 東京成徳大学

超ときめき♡宣伝部 「わたし、ナンバーワンガール!」

・黒い衣装とキュートな笑顔が、小悪魔ちっくで、簡単に虜になってしまった。観客に振りまかれる眼差しも計算し尽くされているよう。全員「今自分と目が合ってたよな?」と帰り道にどぎまぎしていることだろう。

=LOVE 「手遅れcaution」

・1曲目で我々の心をいとも簡単に掌握した小悪魔が、繊細に悩み、縋る少女に一変。このセットリストはズルい。良い意味で。

私立恵比寿中学 「響」

・相変わらずセットリストが完璧で、7分半という短時間で彼女たちの多面性をこれでもかと見せつけられて感動した。異なるダンスや表情だが、瞳の奥に常に「ギラギラさ」が見えた。色の違いを表現できるのは、確かな芯を持つ自信あってこそなのだろう。

 

6. na-nam M大学

NMB48 「オーマイガー!」

・「みなさんのところに、虹をかけに来ました!」、あまりにも煽りが馴染んでいるものだから、本職アイドルでないということに納得が出来ない。

・ダンスのキレ、煽り、笑顔。何から何まで「プロ」の総合力。

モーニング娘。 「Fantasyが始まる」

・あまりに全てのレベルが高いものだから綴るのが困難だが、ダンスの上手さに特別圧倒された。

ベイビーレイズJAPAN 「僕らはここにいる」

・「僕たちは、na-namは、絶対に、決勝に行きます!」「今日までに何度も何度も挫けそうになったけど、僕たちはここにいます。皆で一緒に、最高の景色を見に行きましょう」言葉の一つ一つが真摯で刺さる。“コピー”ダンスの大会だが、彼女たちが持つ個性や強い気持ちが既存の楽曲と共鳴して、UNIDOLの舞台でしか生まれない新しい夢の世界が広がっていた。

 

7.さよならモラトリアム 慶応義塾大学

欅坂46 「誰がその鐘を鳴らすのか?」

・人数を活かした振付を、7人でここまで魅せられるのか。振り割りの工夫や練習量、客観視する能力の高さが圧巻。

アンジュルム 「出過ぎた杭は打たれない」

・舞台上でのメンバー同士の連携の強さが際立ったパフォーマンス。

SKE48 「未来とは?」

・さすが前大会準優勝チーム、完成度がすごい。挙動が全てアイドルで、1つのチームだと感じる。異なるユニットのコピーを見られるのが贅沢だ。

 

8.mint☆ 芝浦工業大学

Maison book girl 「faithlessness」

・アイドルとしては珍しいアバンギャルドな世界観を巧みに表現していた。コンテンポラリーダンスをさらっと踊りこなす、彼女たちのポテンシャルに圧倒された。

私立恵比寿中学 「ハイタテキ!」→「未確認中学生」

・指揮のふりから次の曲へと移行するステージ構成に工夫が見られた。1曲目とは打って変わっての激しいパフォーマンスのギャップに心奪われる。

BiSH 「My distinction」

・ダンスだけではなく、表情一つ一つに表現への思いが伝わってくる。最後に全員そろって深々とお辞儀をする姿が印象的だった。

 

9.BLUE PRINCIPAL 青山学院大学

SKE48 「前のめり」

・綺麗なフォーメーション、揃ったダンス、完成度がプロのそれではないかと思わされる。水色と白色の爽やかな衣装にときめきがとまらない。

26時のマスカレイド 「B dash!」

・9人それぞれの個性が光っていて、目が足りない。

乃木坂46 「Sing Out!」

・ミニスカートからロングスカートへの衣装チェンジ。1つの舞台で様々な面を見せてくれる彼女たちの姿をもっと見たいと思わされた。

 

10.柊坂 J大学

乃木坂46 「ガールズルール」

・広いステージをたった2人で縦横無尽に駆け回り、客席を盛り上げる実力は圧巻。

NMB48 「だってだってだって」

・お互いサポートしあっている様子に2人の仲の良さが感じられる。

≠ME 「君の音だったんだ」

・切ない表情からはじける笑顔まで表現の振り幅が凄い。

 

11.和娘。《なごむすめ》 和洋女子大学

私立恵比寿中学 「紅の詩」

・青いギンガムチェックのスカートの裾が揺れる、緩急ついたダンスに目が釘付けになった。かっこいい曲を可憐に踊りこなすのは彼女たちの持てる技では。

FES☆TIVE 「ドンドコ祭りズム -燃え上がれタイコちゃん-」

・早いテンポのダンスもキレキレ。電波曲のパフォーマンスからもその実力が伺える。

アキシブproject 「アキシブウェイ」

・3曲目ながらも、掛け声を入れながらの全力のダンスは圧巻。運動量の激しいステージにも関わらず、細部までこだわっており胸を打たれた。



12.ー麗ー 國學院大學

The Idol Formerly Known AS LADYBABY 「参拝!御朱印girl☆」

・イントロのみ、扇子で顔を隠して登場。白いチュールの衣装で可憐に踊る姿は天女、あるいは天使を彷彿させる。

AKB48 「アボガトじゃね~し...」

・あの指原莉乃さんも48グループで一番難しいと評するダンスを元気いっぱい笑顔で踊りこなす。その裏にあったであろう努力に思いを馳せてしまった。

アンジュルム 「七転び八起き」

・可愛らしい曲から一転、かっこいい曲へ。確かに同じメンバーなのにまるで別人のようにまで感じられた。

The Idol Formerly Known AS LADYBABY 「参拝!御朱印girl☆」

・冒頭にイントロのみ流した曲で締め。「ぴょんぴょんぴょん」というコールも交えながら最後は客席まで巻き込み、全てにおいて魅了されるステージだった。

 

13.SPH mellmuse 上智大学

Cheeky Parade 「BUNBUN NINE9’」

・まずなにより惹かれるのは笑顔。激しいダンスとフォーメーション移動を平然とこなす彼女たちのバイタリティーはいかほどか。

Luce Twinkle Wink☆ 「Treasure」

・メンバーを交代して次は白いワンピースを着た5人が登場。

スマイレージ 「地球は今日も愛を育む

・赤いタイトなミニのスカートで6人が登場。

・女の子らしいポップさから一転、かっこいいギャップで魅せる。

HKT48 「大人列車」

・総勢16人の圧巻のステージ、人数を活かし本家HKT48にも負けない華やかさに画面越しに夢中になった。

 

14.monagirls S大学

≠ME 「≠ME」

・メンバーごとに違う色のリボン巻いたワンピースで登場。キレがありながら可憐さがやどるダンスが甘酸っぱい曲にぴったりでこれぞ王道アイドル。

タマリデパート 「ゴイリョクタラズ」

・曲冒頭に見上げた顔に浮かぶ切ない表情に胸が打ちぬかれた。一人ひとりの解釈が読み取れる指先まで心のこもった表現にコピーダンスのもつ可能性を見せつけられた気がした。

HKT48 「最高かよ」

・関東予選を締めくくるのにふさわしい盛り上がり。生声のコールやファンサも盛大に交えて観客の心を鷲掴みにした彼女たちこそ最高かよだった。

 

 

 

特別コメント

君はトキシック

 

3位を勝ち取った、早稲田大学『君はトキシック』リーダーのれいかは涙を堪えながらこう語った。

「3人という少ない人数でも、がんばってきてよかった」

パフォーマンスに現れる以上の、彼女たちしか知らない苦労や心細さを慮ると、言葉にならない。

MCの静氏に「最近のユニドルに出る子たちは、喋りが上手な子が多いね」と言われるほどまとまった話し方。あんなに情熱的なパフォーマンスを見せられたあとに、この落ち着いた表情と聡明さを見せつけられると、内に燃える情熱を感じてぐっとくる。

 

そんな君トキに、改めて自身の色や決勝への想いを届けてもらった。

 

——「君はトキシック」の特色やアピールポイント

3人での出場であったため、人数の少なさを感じさせない迫力のあるステージをお届けするために、激しいフォーメーション移動や、あえて本家が大人数グループである楽曲をセトリに組み込むこと、背景映像で人を多く映すことで、3人よりも多くいるかのように見せるなど、数々の工夫を凝らしました。また衣装に関しては、衣装替えに挑戦し、1着目は本家の衣装を再現し、2着目は曲調と歌詞の意味からデザインを考えました。

 

——予選を終えて

3人で挑む舞台は一人一人の負担も大きく、本当に大変なことが多くありましたが、このような素晴らしい結果を頂くことができて、我々含め、チームの仲間や応援してくださる方々が皆喜んでくださって、本当に嬉しく思います。たとえ少人数でも決勝進出は不可能ではない、ということを証明することができました。ここまで応援してくださった皆様、そして支えてくださった多くの方々に改めて感謝申し上げます。

 

——今後の活動への意気込み

新チームとして初のユニドルで結果を残すことができて、少しでも私たち「君はトキシック」の名前を知っていただけて嬉しいです。今後も、結果を残すことはもちろんですが、チームメイト全員が協力しあって互いに支え合いながら、チームの更なる発展を目指して試行錯誤し、「君はトキシック」の名前をたくさんの人に知ってもらい、そしてまたたくさんの方々に愛されるようなチームにしていきたいです。

 

 

人数のディスアドバンテージを乗り越え、見事予選を通過した君トキ。何より、応援している人たちの存在に感謝し続ける謙虚な姿勢に、ファンも決勝に向けて一層気が引き締まるのではないか。3人がどんな風に更なる進化を遂げて舞台に上がるのか、目が離せない。

 

 

 

 

想いの詰まった夢のステージ

UNIDOL2020-21 Winter関東予選は、1年ぶりの公式大会ということもあり例年以上に白熱した大会となった。それぞれがチームの色を考え、見つめなおした長い長い準備期間を経て、彼女たちが見せたパフォーマンスには、確かに胸を打つ何かが秘められていた。

 

 

 

 

 

三題噺から短編小説②

※三題噺では、指定された三つの言葉を使って作文を書きます。今回のお題は「ドライバー」「病院」「遠吠え」でした。 

 

タイトル:タクシードライバー

 

泥酔した人間をタクシーに乗せて、お役御免だと思っている連中があまりに多い。

同僚や友人が潰れたらとりあえずタクシーに乗せる。それが優しさだと思っているなら、誤解だ。泥酔した客は大抵ポケットから財布を出すこともできない。おまけに要らない「落とし物」を車内に残して行ったりする。「落とし物」の強烈な臭いと共に車を走らせるこっちの身にもなってほしい。下手に声を掛けると「うるせえ!こっちはお客様だぞ」と振りかざす。暴行を受けることもザラにある。タクシー業界は非常にストレスの多い職場だ。本当ならすぐにでも辞めてやりたかった。だが、そんなストレスとももうお別れだ。 

 

そんなタクシー業界の現状を打破するため、社で新たな福利厚生が導入された。月に一度、都内の特定職業病院にあるタクシードライバー科」で無償の受診が認められたのである。個人主義、多様化の時代。年齢、性別、職業、趣向。あらゆる個性に対応するため近頃は職業に応じて専門医が置かれるようになっている。噂では「パティシエ科」「女性アイドル科」なんてものもあるらしい。 

話を戻そう。

俺が初めて特定職業病院のタクシードライバー科」へ訪れたのは先月のことだった。「タクシードライバー科」は病院の5階にある。最後の客の「落とし物」を片付けたあとだったから、深夜1時くらい。この時間でも開いている外来は「タクシードライバー科」「ホスト科」その他いくつか。5階だけ煌々と電気がついているのも不気味だ。夜の病院なんぞ好んで来るものではない。病棟内は消毒剤の臭いが立ち込めていて、不気味な重低音も聞こえている。遠くで聞こえるナースコールは患者の急変の知らせか。50にもなって冷や汗をかくとはお恥ずかしい。 

診察室に入ると、温厚そうな初老の医師が待っていた。 

 

「今日はどうしましたか」 

「最近、不眠症気味なので睡眠薬を処方していただきたくて」 

「それは大変ですね。酔っ払いには絡まれますか?」 

「ええ。実は今夜も」 

「それはいけませんね。一日にどれくらい絡まれますか」 

「日に4度ほど」 

「ちょっと頻度が多いですね」 

 

 医師は回転椅子でデスクに向き合うとカルテに泥酔被害と記入した。少し思案顔をしたあと、腕を組んで俺を見る。 

 

無銭乗車とか、暴力もありますか」 

「たまにですが……」 

「やっぱり重症ですね。今日は何点か薬処方しますね」 

「お願いします」 

 

なんだ。「タクシードライバー科」というから、もっと専門的な質問をされるのかと思ったら普通の医院となんら変わりないじゃないか。急に力が抜けてくる。 

 

「今日処方する薬は……。まず睡眠薬ね。14錠です。夜寝る前に水で飲んでください。あとこれ[嘔吐抑制剤]です。注射で30本。吐きそうなお客さんの頸動脈に打ってください。それと[鎮静剤]ね。これも注射針ね。苛立ってるお客さんの左腕に打ってください。数時間気絶するかもしれないけど気にしないでね」 

 

なるほど、ドライバーだけでなく客用の薬も処方してくれるのか。タクシードライバーの健康のカギは客が握っているようなものだからな。医師はデスクの引き出しをゴソゴソと漁りパンフレットのようなものを取り出した。 

 

「これね。新しく始まったサービスで、皆さんに渡しているんです。無銭乗車とかどうにもできないような迷惑な客がいるでしょう。この地図にあるキャンプ場で降ろして下さい。置き去りで構いませんよ。しかるべき機関が適切に対処しますから」 

 

パンフレットはイラスト入りで分かりやすい。タクシードライバーの福利厚生も捨てたものではないなと思う。その時ずっと聞こえていたサイレンのような重低音が急に大きくなった。診察室の天井に振動が伝わる。けたたましい音だ。悲痛な音だ。 

 

「何の音ですか」 

 

思わず聞いた俺に、医師は驚いたような顔をする。 

 

「ご存知ないんですか?ドライバー科の行動療法ですよ。今はタクシードライバーさんが何人か屋上でやってますよ。日頃抱えている恨みや鬱憤を発声で晴らしているんです。深夜に叫び声が聞こえることがあるでしょう。あれは大体この叫び声です。どうです、あなたもやっていきますか?」 

 

なるほど、さっきから聞こえていたのはドライバーたちの遠吠えか。仲間の叫びなら何も怖いことはない。ここは明日からも仕事に邁進するための補給地点。もう迷惑な客に足蹴にされる俺ではない。ひと叫びして行くか。診察室の切れかけた蛍光灯がチカチカと点滅する。深夜に浮かぶ紙のような月が、俺のドライバー人生を祝福しているようだった 

 

※この小説はフィクションです。実在の人物や機関とは全く関係ありません。

三題噺から短編小説①

※三題噺では、指定された三つの言葉を使って作文を書きます。今回のお題は「ドライバー」「病院」「遠吠え」でした。 

タイトル:医者と患者

 

医者は難儀していた。

彼の腕には一切の問題もなく、地位も収入にも問題はない。診ている患者も皆快方に向かっている。彼の目の前にいる患者も一週間もあれば元どおりになるだろう。しかしこの患者がこの病院にいること自体が彼にとっては問題だった患者に因縁があるわけでもないのだが、その患者は問題だった。 

今日もその患者がやってきて、礼儀正しく診察室の椅子に腰を下ろした。 

「先生、今日もよろしくお願いします。」

患者の眼が光る。患者のこういうところを医者は苦手としていた。 

「それで、今日の調子はいかがですか?」 

体にガタがきてましてね。腰なんか一日中ギシギシ鳴ってますよ。」 

「そうですか。やはり手術が必要なようですね。」

内心、医者はそれを手術などと呼びたくはなかった。しかし医者としての倫理観と場の空気がそうはさせてくれなかった冷たく硬い印象の外見に反して患者はとてもフレンドリー。だが、そのことがますます医者の悩みを加速させていく。どう考えてもこの患者はこんなところに来るべきではない。しかしそのことをどう伝えればいいのか。そもそも伝えるべきなのだろうか。どうにも表情を読めない患者の顔がさらに心を惑わせる。だがもう医者の心は決まった。やはり伝えるべきだ。真実を伝えてこそだ。 

「君、ロボットだよね?」 

「え?」 

「いやどう見てもそうでしょう。金属の外装にカメラアイ、おまけに充電用ポートまで。行くべきはたぶん病院じゃない。」 

「面白い冗談ですね。手術を前に笑わせて和ませてくれるなんてやっぱり先生はいい人だ。私の善意センサーもあなたの善意を検知して犬がはしゃぐみたいに尻尾を振ってますよ。」 

医者は驚いた。たぶん彼に何を言ってもよくて負け犬の遠吠え、悪ければやぶ蛇にしかならないだろう。看護婦にドライバーを持ってくるよう頼んでオペ室へ入っていった。 

書評『はぐちさん』 ~等身大のままのあなたがいい~

はぐちさんって誰?」 

「生き物なの?」

始めはきっと誰もがそう思う。くらっぺ先生の『はぐちさん』はSNS発で単行本に至ったコママンガだ。優しい線描で、「はぐちさん」と主人公八千代の日常が描かれている。

 

comic.pixiv.net

 

八千代は仕事に忙殺される日々で身を擦り減らしていた。そんなある日、「世界中を旅したけれどここがいいです」と不思議な生き物がやって来。お餅のような、風船のようにも見えるその生き物は「無理をすれば」何にでも変身できる。ハンサムな男の子にも、ベッドや傘にでも。そしてとびきり料理が上手。それが「はぐちさん」だ。

 

春夏秋冬、はぐちさんの美味しいご飯とともに何でもない日常がある。休日がとびきり幸せで、出前のメニューにわくわくして、仕事に行くのが憂鬱で、それでもはぐちさんが待っているから頑張れる。八千代と共にいつしか読者の心も洗われる。

 

はぐちさんはいつも一生懸命。長老のようなことを言うのにあどけなさがあって、優しい。ああ、必要なのは毎日「待っていてくれる」存在で、頑張らない自分を受け入れてくれる場所なんだ。そんなことに気付かされる。

なんでもないことなのに、ちょっぴり涙が出そうになる。 

 

 

私が『はぐちさん』に出会ったのは池袋のジュンク堂。当時受験生だった私は荒みきっていた。まだ自習室に行きたくないなあ。欲しい本があるわけでもなくふらりと入って黙ってエスカレーターに運ばれる

結果だけが評価される受験自体、私には不向きだった。やりたいことをやるため、やりたいことを犠牲にする。そんな矛盾にうんざりしていたのだ。『はぐちさん』を見つけた瞬間はよくおぼえていない。気づけば、4巻まで買っていた。大判のコミックだから一冊900円もする。当時は特にお金の使い道も無かった。しんどくなったらジュンク堂に行って一冊また一冊と手を伸ばした。あの受験勉強を支えてくれたのは、きっと『はぐちさん』だ。青本でも、単語集でもなくて。

 

 

はぐちさんは無理をすれば何にでもなれる。

でも、皆はぐちさんに無理をさせない。だからいつでもお餅の姿のまま。

そう、無理なんてしなくていい。

私たちは気づけば無理ばかりしている。無理をしなければ叶えられない夢も地位もある。でも、何気ない日々の小さなときめきを忘れてしまうのは悲しいことだと思う。無理をしない自分を認めてくれる存在をいつだって探している。

等身大で何の変哲もない自分を受け入れてほしい、とただ願っている。 

 

 

今でも辛くなったらはぐちさんを読む。レポートに忙殺される日々も、プレゼンがうまく行かなかった日も、心無い言葉に傷ついた日も。

「無理をしない」私を『はぐちさん』は受け入れてくれる。気づけば無防備になっていて、身体の中心がぽっと温かくなる。 

 

心が折れそうになっている人、寂しい思いをしている人が『はぐちさん』に出会えますように。

 

www.amazon.co.jp

『はぐちさん』はくらっぺ先生のTwitterからも楽しめます。

twitter.com