早稲田大学マスコミ研究会

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懐かしさをもう一度【試写会レポート②】

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 映画を観て「懐かしい」と感じたことは初めてだったかもしれない。私は、原作の「都会のトム&ソーヤ」シリーズを読んだことがなかったため、映画を観終わった後にキャラクターがいかに再現されているかを比較したり、原作でどのように彼らが描かれていたかを思い出したりすることはできなかった。しかし、本作を観て幼い頃に初めて映画館に連れていってもらった記憶を思い出した。小学生の時、初めてショッピングモールの映画館に連れて行ってもらった。何を観たのかは思い出せないが、大きなスクリーンと壮大な音に飲み込まれそうになったのを覚えている。あの時、確かにワクワクしていたのだ。数年経った今、映画館のスクリーンに驚かされることはなくなった。

 

 しかし、なぜか見慣れたスクリーンに映る『マチトム』の登場人物たちに過去の記憶を重ね合わせ、幼い頃にワクワクした気持ちを追体験させられた。この映画は、主役の内人と創也の凸凹コンビが力を合わせ謎解きに挑戦していく物語だ。中学生ながらも祖母から教えられた知恵を持つ内人と頭脳明晰な創也。本作の見どころはこの二人が謎を爽快に解いていくところだけではない。真逆の性格である二人が次第に打ち解けあう姿に感動する。幼い頃は未知なものに惹かれる一方で、不安もあるはずだ。物語では、内人は自分を「普通」だと言い、周囲から一目置かれている創也に心惹かれる。一方、創也は内人が内に秘める力を感じとり、彼をゲームに誘う。彼らが物語を動かす鍵は互いに力を合わせることだった。自分以外の人は思い通りにはならないと大人の私たちは知っている。しかし、彼らは突き進むため時に衝突しながらも、互いに力合わせようと努力する。友情も冒険と同じように常に期待と不安の繰り返しだ。そうした純粋で甘酸っぱい気持ちをこの映画を通して思い出した。

 

 はやみね作品を読んだことがない人でも、謎解き冒険ストーリーに触れたことがない人でもきっと懐かしさを取り戻せるだろう。いつか感じたあの気持ちを映画と共に思い出してみてはいかがだろうか。