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小さな文字が添えられていた
宇宙飛行士の話は間違いなくおもしろい。なぜなら、漫画の『宇宙兄弟』がおもしろいから。「『宇宙兄弟』がおもしろい=宇宙飛行士の話はおもしろい」という絶対的な公式が私の中には存在する。
先日レンタルビデオ店で、見覚えのあるDVDジャケットを見かけた。それは、宇宙服を身にまとった宇宙飛行士の顔面が大きくドンと写しだされたものだ。タイトルには「オデッセイ」と書かれている。
あの有名な宇宙飛行士映画‼︎ 胸熱になった私は、すぐさま「オデッセイ」を手に取り家で鑑賞した。
舞台は旧ソ連時代。登場人物は主人公スタスと親友のアンドレイ、ヒロインのユリア。ちなみに彼女はヒロインのくせにスタスとアンドレイ両方と二股をかけるクソ女である。肝心のストーリーはというと、始終陰鬱な雰囲気。序盤からアンドレイの挫折やユリアの二股が描かれ、さっそく観客を胸糞悪くさせる。そしてラストでは、主人公の死亡という最大級の胸糞イベントが勃発。おまけに残されたアンドレイとユリアも不幸な目に遭うという、非常に後味の悪い鬱エンドを迎える。なんなら、そもそも宇宙飛行士の話だと思って鑑賞していたのに、いつまで経っても全然宇宙に行かない。
「オデッセイ」は世界的大ヒット作品。ヒロインが浮気したりラストで主人公が死んだりする、不幸しかない鬱映画が大衆ウケするなんてあまりにも衝撃的だった。世間はいったい何考えてんだと思った私は、ツイッターで「オデッセイ」の感想を検索してみた。
「何度も観たい」「ラストでニヤッとできる」「数々の苦難を楽しく乗り越えている」「前向きになれる」「子どもに見せたい」「この映画好き(*^o^)ノ⌒☆」
……と最初は思ったが、さすがにポジティブな感想ばかりで、「もしや私が見たのはあの『オデッセイ』じゃないのでは?」と思い始めた。確かによく考えたら、ロシア人の設定なのにがっつりアメリカンな男がバリバリ英語を話している時点で、若干嫌な予感はした。いやいやでも、明らかに見覚えのあるDVDジャケットだし、ジュラシックパークとか名作の並びにあったし、なによりタイトルに「オデッセイ」って書いてあったし! ということで、もう一度ジャケットの表紙に記載されたタイトルを確認すると、
「エンド・オブ・オデッセイ」